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石の精霊はおばあちゃんの味方

  • 執筆者の写真: スールラテール
    スールラテール
  • 2024年10月14日
  • 読了時間: 5分

更新日:2024年10月17日


頬が赤い人形が2体集合して写真を撮っている

赤色の石、黄色の石、青色の石・・・


なんの変哲もない、ただの石だと思っていませんか

いいえ、あなたが知らないだけでそれは心優しい精霊かもしれません・・・




第1章 福井のおばあちゃん


本州の中央に位置する福井県

雲一つ無い、晴れた日の福井県から見える日本海

山と海に囲まれ、日本海の潮風が気持ちいいこの場所で、おばあちゃんは今日も朝早くから野菜を育てています。


腰の曲がったその姿は、朝から晩まで畑に向かい、優しく丁寧に野菜を育てている「おばあちゃんの懸命さ」を象徴していました。


ピーマンやナスに、トマト。

特におばあちゃんお手製の梅干しは地元の人々や家族に愛され、彼らの心と胃袋を満たしました。




第2章 農業の厳しさ


何十年もの間、おばあちゃんは自宅横の畑で野菜を育ててきました。

畑作業の知識はたっぷり持っています。

しかし、そんなベテランおばあちゃんでも、うまくいかないことはたくさんありました。


畑が荒らされている

腹を空かせたサルやイノシシは、おばあちゃんのいない隙に畑を荒らします。電気柵には穴が開き、かじられた野菜はいくつも下に落ちています。害獣対策には多額の費用がかかり、大きな痛手です。30度超えの猛暑が続き、根っこから腐ってしまうこともあります。

市場で販売しても、天気や客足に左右され、数袋しか売れない日もあります。

生産量も売上げも、とても不安定なのです。


形が不ぞろいな野菜や喰われたもの、傷の付いた野菜は、おばあちゃんを特に悩ませました。

漬物に加工して販売したり、家族に渡したりしていても、余ってしまいます。

結局、売れずに行き場を失った野菜は畑の隅っこに捨てるしかありません。


農業の厳しさをおばあちゃんは知っていました。


第3章 畑に捨てられた野菜の想い


畑の隅っこには、大根や人参がたくさん横たわっていました。



朝市で売れ残ってしなびているもの

縦に亀裂が入り、売ることができないもの

形は綺麗なのに、サイズや重さが不十分なもの


畑の隅っこは、そんな野菜たちの溜まり場でした。

規格外の人参がたくさん集まっている

野菜たちは思います。


「私たちは形が不ぞろいだから、誰も選んでくれないのね。」

「あいつら(猿)にかじられたせいだよ」

「傷ものだからかなぁ・・・売り場では見向きもされなかったよ」


「でも・・・」

『おばあちゃんは愛情をたっぷり込めて、僕たちを大切に育ててくれたんだ。だから僕たちも役に立ちたいよ!』


野菜たちは、畑で朽ちるしかない運命に心を痛めました。

畑の隅っこはとても静かで、寂しそうです。

一方で、おばあちゃんへの感謝の気持ちは一際、大きくなっていきました。




第4章 青白く光る小さな石


とても暑い日でした。まるで灼熱の炎天下で、畑がじりじりと焼けつくような暑さでした。

野菜たちは、蒸し暑さの中で徐々に干からびていました。


そのとき、遠くから風が吹き始めました。

そよそよと穏やかだった風は、次第に強まり、畑を包むように吹き荒んでいきます。

一層、熱風が野菜たちに押し寄せました。


「暑いよぉ。僕、焦げちゃうよ」

「私、このまま枯れていくなんて嫌だよ!」

「しょうがないじゃん。もう食べてもらえないんだから」

「俺、おばあちゃんが悲しそうだったのが心残りだよ」

「確かに。それが1番、悲しいね」

みんな、おばあちゃんを笑顔にしたかったのです。

野菜たちの言葉は風にのって、畑中に響き渡りました。


すると、野菜たちのそばにゴロゴロゴロ・・・コロコロコロ・・・と、小さな石がたくさん集ってきました。

それは、いつも風景の中に溶け込んでいた平凡な石でしたが、

今日は違うようです。

青白く光るそれらは、まるで魔法にかかっているようでした。

石が青白く光っている

そして、石の1つが静かに言いました。



「安心して。僕らがいるよ。君たちの願い、僕らが叶えてみせるよ!」


野菜たちは突然のことに困惑しました。

しかし、彼らの言葉に希望を抱き、願いを託すことにしました。

なぜなら、野菜たちは目の前の石が、普通の石ではなく、何か特別な力を持っていると感じたからです。



第5章 石の精霊の誕生


石たちは知っていました。


雨の日も、風の日も、腰の曲がった小さなおばあちゃんが畑にくることを。

鮮やかに実った野菜を嬉しそうに収穫するおばあちゃんの顔を。

猿に荒らされた畑を見て、激怒するおばあちゃんの姿を。

すくすくと元気に育っていく野菜たちの成長を。

畑の隅で悔しそうに朽ちていく野菜たちの想いを。


知っているだけで、何もできませんでした。


だからこそ、石たちは干からびる野菜たちが願いを託してくれたことがこの上なく、嬉しかったのです。


『野菜たちのために!おばあちゃんのために!頑張るんだ!』

そう心の中で唱えながら、石たちは毎日畑を見守りました。


すると、なんということでしょう。

日を追うごとに、石たちは野菜の色に染まっていきました。

ナス色の石。トマト色の石。にんじん色の石。小松菜色の石。

以前、願いを託してくれた野菜たちの色がうつったようです。


表面には、顔や手もあらわれました。


「なにその顔!怒ってるみたい~」

「君だって、大きな口なんか開けてさ!食いしん坊みたいだよ笑」

「僕、腕があるよ!」

「私も!信じられない!これでイノシシが来ても追い払えるわ」

「それはさすがに危なくない?」

「でも、これでさ、見ているだけじゃなくなるね」

「僕たち、おばあちゃんと野菜たちの役に立てるよね」


「「「「うん!!!!!」」」」


ほっぺたがぽっと赤く染まったその顔は、まんべんの笑みを浮かべていました。

石の精霊たちがおばあちゃんの役に立ちたいと言っている

こうして、おばあちゃんの畑には、小さくて偉大な味方が誕生したのでした。




※現在、スールラテールでは”石の精霊”の販売を中止しております。石の精霊を可愛がってくださる方々にはご迷惑をおかけします。再販売が決まった場合は、HP上でお知らせ致します。



 
 
 

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